yorioshow AW25 CUIRISM 2「Migration」
- 始点が先か、終点が先か。 あるいはその中心で静謐と漂い続くもの -
「Migration / 回遊性」
その手に触れ、離れるたびに、主観と客観の間を揺れ動くもの ── レザープロダクト。
それは時に、身体の延長として自然に馴染み、存在の一部となる。しかし、一度距離が生じると、まるで独自の美意識を主張するかのように、そのフォルムを靡かせる。
それは確かに持ち主を認識しているかのようでありながら、決して完全には同化しない。
むしろ、絶妙な距離感を保ちつつ、私たちの感情と交差しながら共鳴する。
本質的なフォルムを嗜むためのデザインプロセスは、単なる表層的な経年変化の領域を超え、レザーという素材の変容を受け入れるもの。
その在り方は、作り手自身の感性を映し出しているのかもしれない。
そして、私たちはこうした素材と形が生み出す捉えどころのない生命に触れることで、その内に秘められた更なる美の深層を探るべく、自身の感覚を研ぎ澄まそうとするのではないだろうか。
— 主体と客体を反芻する意識の連続性 —
意図的に、あるいは無意識のうちに、私たちは「もの」を介した行為を繰り返している。
その中心には、「回遊」という現象が潜んでいるのではないか。
手のひらから腕や、肩へ、そして首元から胸や背中へ。
無意識のうちに往復を繰り返すその動きは、ひとつのリズムを生み出し、まるで人と空間をつなぐ建築的構造のように、秩序と流動性を内包した独自の姿を形成する。
CUIRISM 2 では、プロダクトが本来持つ物質的結びつきに着目し、それが 身体・空間・時間 という環境の中でどのように変容し、適応していくのかを探ります。
その過程で、時には観察の視点を変え、多層的な関係性を丁寧に紐解くことで、個々の意識や価値観に生じる繊細な変化を捉え、さらに、その気づきを人々の創造力へとつなぎ、新たなコミュニケーションの構築を目指します。」